外断熱が流行っているのでいろいろ検討したが、今回は軸組み断熱を採用した。今回採用した断熱材(セルロース)と木材の熱貫流率がほとんど同じだったのと、外断熱にすると外壁材がサイディングにかぎられるためわざわざコストをかけて外断熱にする必要を感じなくなったためである。
ただし、屋根面は、通常行われているグラスウールを天井に敷きこむのではなく、垂木の間にセルロースを充填する方法をとった。基礎断熱と組み合わせ断熱ラインをできるだけ外壁周りで行えるようにした。
世にある外断熱を調べてみるとソーラーサーキット、OMソーラー、エアーサイクルシステムなど外断熱、基礎断熱、二重通気がセットになっているものが多い。
二重通気は断熱材のスチレンボードを軸組みの外側に設けその外側の仕上げ材(サイディングボード)との間に空気層①、軸組の内側と内装仕上げの間に空気層②を設けている場合がほとんどだ。その空気層を床下、天井裏とつないで、あるシステムは対流による自然換気、あるものはファンを設けての機械換気を行っている。
換気する空気の取り入れ口は、床下換気口が多く季節によって電動で開閉するタイプが採用されている。しかし電動はあまり好まない。10年も経てば故障の確率も多くなるためだ。
結局今回は、断熱層の内側に10mmn空気層を設けて、その空気層が床下から天井裏につながる仕様とした。柱や間柱に胴縁を打ち付け同縁に仕上げボードを張る事で壁内に空気層を設けている。
壁内通気だけでは不十分で、空気が通る場所は確保されたが、入り口と出口をどうするかという問題が残る。
今回は、基礎空間と、最上階天井裏を外壁の空気層でつなぎ、ロフトの天井面(室内)から基礎空間にダクトを通し、これに軸流ファンを取り付けた。
ロフトの吸気口
床下のダクトたち下がり(奥に見えるのが軸流ファン)
室内で熱せられた空気はロフト天井付近にたまる。これをダクトで床下に戻し、地表面近くの低い温度に下げる。これを外壁空気層を通して最上階天井裏に持ち上げ、外壁の断熱性を挙げるとともに、棟換気装置で屋外に排気する様にした。
夏はこれで何となく理屈に合ってるような気がする。
床下換気口は、一般のソーラー住宅では夏に開けて冬閉めるらしい。しかし今回は電動開閉をいやがったので結局年中閉めっ放しにする事にした。
竣工後8年経つが、床下換気口が閉まっているために床下が湿気でじめじめする事は無い。機械換気が効いてると思われる。
冬は、基本的にはファンを停止し外壁通気層で断熱効果があれば良いつもりだったが、結局夏と同じ事をやっている。当初冬は換気ファンを止めていた。一階居間を暖房するが、暖かい空気はロフトに上がってしまい、なかなか居間は暖まらなかった。そこで換気ファンを動かし、暖かい空気を一階床下に戻す事で、底冷えを防ぐ事にした。これは中々正解で、冬外気温が0度を下回る日でも、朝の室内温度は10度以上ある。
中間期(春と秋)は、できるだけ自然換気が行える様に、南面と北面に換気がらりを設けたり対流効果を期待して、湯kら面ギリギリに小窓を設置したりロフトに開閉式のトップライトを設けたりしている。
玄関吹き抜けと寝室をつなぐ通気のためのインナーサッシュ
システムの考え方であるが、
1。換気はアクティブサーキュレーション(ダクトとファンによる機械換気)とパッシブサーキュレーション(対流による自然換気)に分けられるが、今回はこれらの併用とした。
2。吸気口と排気口は一階キッチンの 外気取り入れ口のベントキャップ(ガスコンロのための換気口)を吸気口とし、排気口は屋根の最上部に天井裏の空気を排気できる様に棟換気口とした。窓を閉めればこの2カ所以外外気とつながっている場所は無くなる。
3。ファンの能力は建物の容積分の空気を1時間に2回換気できる能力とした。(この設定が賛否両論ありこれからの検討課題である)
4。ダクト径はファンを稼働させた時に4m/秒の風速になるように設定した。
基本的には熱い空気は上に上がり冷たい空気は下に下がる事から、室内で一番高い位置にあるロフトの天井ギリギリの壁から、一階の床下へダクトを設けその出口にシロッコ(軸流)ファンを取り付けて、ロフトの空気を床下へ送り、外壁の通気層を通って軒裏へ至り、棟換気開口から外へ出るシステムとした。床下へ空気を送ることで、夏は、室内の熱い空気が床下の冷たい空間で冷やされ外壁を昇ることで外壁が冷やされることを期待している。
換気システムに “期待する効果” としては、
1。換気
2。排熱
3。壁内部結露防止
4。断熱
5。集熱
であるが、予想外の効果としては室内空気の除塵が挙げられる。ロフトに取り付けたダクトの吸入口にフィルターをつけているが直ぐに真っ黒になる。これだけ室内空気に塵が含まれているという事だ。
上に掲げた “期待する効果” のデータ取りは、竣工当時は”季節毎にデータを集めて実証するしかないと思っている。結果によっては今後マイナーなシステム変更も考えている。”等と書いたが行っていない。結局等閑で、8年経っても数字で把握できてないが、感覚的には、通常の木造住宅よりはかなり断熱性能はいい様に思う。
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